ふと思い立って江戸川沿いを自転車で走って海を目指した日

ドライブ・サイクリング

無職になって2ヶ月目のある日、私はLチキを購入するため、ローソンへ向かうべく江戸川の土手沿いをで自転車を走らせていました。

どうも!無趣味社会人ことたっつーです!!

すると、路面にでかでかと「R16」というサインがあったんです。道路でR16ってどういうこと?まさか16歳以上じゃないと通れないってこと?ってふと近くにあった看板を見たら「海から16km」の文字が。

へー、海まで16kmなんだ。近いのか遠いのか、いまいちよくわからない距離感。でも土手にこの文字があるってことは車向けのサインではないだろうし、サイクリングかジョギングしてる人向けの案内なんでしょうか。

急遽思い立って海に行くって青春っぽい

ところで、急に思い立って学校とか仕事をサボっていつもと違う電車に乗ってどっか行っちゃうみたいなの、昔から憧れだったんですが、あれって経験ある人どれくらいいるんでしょうか。もちろん私はチキンなので実際にはそんなことできませんが、罪悪感の後ろにすごい爽快感があるんじゃないかと想像するんですよね。

というか普段の休日ですら体力温存のためにいつもは行かない場所に思い立って行くなんてことはできません。洗濯、掃除、作り置き。平日できないことをしていたらあっという間に休みは終わってしまいます。

でも現在の私は無職。明日も午後ハロワに行くという用事しかありません。ふと思い立って16km自転車で走って海を目指してみるなんて、今しかできないんじゃないかと思い立ち、Lチキを買いに行くという予定を急遽キャンセルし、江戸川の土手をサイクリングすることにしてみました。

看板を頼りにひたすら自転車を漕ぐ

Google mapなどは一切使用せずに、とにかくこの「海から○km」の看板を追うという緩いルールだけ自分に課して自転車を漕ぎ始めました。

この看板、250mおきに設置されているようで、自転車のスピードだとそこそこの頻度で出会います。結構いいペースで1km、2kmと歩みを進め、海から14kmになったところで時間計測。16km地点を出発してから経った時間は8分でした。

なんだ、余裕じゃん!現在時刻は13時40分、2kmで8分だからこのままのペースを維持すれば大体15時前には海に着くね。それからまた自転車で引き返したら家に着くのは17時頃か…うんうん、なかなかの道のりだな…これから3時間以上もチャリ漕ぎ続けなきゃなんないのかよ。まぁでも、別に絶対辿り着かなきゃいけないわけじゃないんだし、無理そうだったら早めに諦めて引き返そう…

早くも雲行きは怪しくなってきましたが、なんとか元気で陽も明るいうちに少しでも進めたくて、一心不乱にペダルを漕ぎます。ここは江戸川、もしかして海までいったら、ディズニーランド葛西臨海公園が見えちゃう感じ?!そう考えるとワクワクしました。

時は12月上旬、冬にしては気候がとてもよく、絶好のサイクリング日和です。

晴れ渡った空を眺めながら走るのは気持ちいいのですが、家を出た時の私はまさかこれからサイクリングに行くつもりなんてなかったため、上はヒートテックにシャツと真冬用のマウンテンパーカー、下に至っては裏起毛のデニムととてもサイクリングするような服装ではありません。

じんわりと汗をかいてきて、裏起毛のデニムなんて履いてくるんじゃなかったと、いつものように無計画な自分に若干の憤りを感じつつも休むことなく歩みを進めました。

途中電車や道路の橋があったりして、土手の道は行き止まりになるところもあるため、土手から河原に降りたり、また土手に上がったりとしているうちに大分体力が削られていきます。

なんで自分っていつも思いつきでこんなことしちゃうんだろう。過去にも後先考えず始めた自転車旅で散々苦労してきたのに。

参考:思い付きで琵琶湖一周サイクリングの旅に出てケツを痛めた話
参考:石垣島で雨の中自転車を走らせた話

もう諦めて引き返そうと思った矢先に…

そしてようやく海から9.5kmの看板に出会ったあたりになると、出だしの勢いはとうになくなりました。まだ半分もいってないのかよ。これ冷静に考えると帰りめちゃくちゃキツいんじゃないか?もうそろそろ引き返そうかな…だいぶいい運動になったしね…と頭の9割を「諦め」の文字が占め始めました。

ヘトヘトになりつつそれでもとりあえず行けるとこまで…と残りの体力を使い切るつもりで自分を鼓舞してペダルを漕ぎます。すると分岐点?分かれ道?につきました。

どっちに進むのが「」なのか、私が追ってきた看板はここにはありません。大事なところに道案内がないのは、サイクリングも人生も同じなのかもしれません。それでもどっちに進むのか、それとも進まないのかは決めなければならないのです。

今まできた川に沿うなら、右方向で一旦街側を走ってまた土手に戻る感じかな?左に進んで橋を渡れば、向かい側の土手にダイレクトで行けるっぽい?

よくわからないけど、これはもう雰囲気で行くしかない!と左に曲がり橋を渡ることにしました。

運命の分かれ道の先には…

そして橋を渡って少し走ると例の看板が出てきました。

え、海から3.5kmって、どういうコト?!なんか急に巻いてるんですけど?!(歓喜)

最後に見た看板は9.5kmだったのに、なんとわずか3分の間に6kmも歩みを進めたことになりました。果たしてこの看板に書いてある「海」と、さきほどまでの看板の「海」が同一の海なのか、急にゴールが見え出した私にはそんな小さなことは全くどうでもよく、一気に元気が出てきました。

その後は希望が見えたことでペダルを漕ぐ足が軽くなり、数分前の引き返そうかなという気持ちはなくなり純粋にサイクリングを楽しみながら海を目指しました。

河原はとても癒される

学生時代トータル7年間使っていた東西線

河原を走ってると色々な人とすれ違います。トランペットを練習してる人、デカいプードルを何頭も引き連れて散歩してる人、河原にただ腰を下ろしてぼんやりしている人。みんな思い思いの時間を過ごしているこの河原という空間が私は大好きで、穏やかに時間が過ぎて行くのを感じました。

人生にはただ座って綺麗な景色を眺めるだけの時間が必要だし、何をするでもなくぼーっと過ごすだけの余白があっていいはずなのに。

仕事を辞める直前数ヶ月間の私は、日々の業務プレッシャーに追われ、仕事をしていない時も会社のことが頭から離れませんでした。休日も何か将来のために意味のあることをしなければという強迫観念に囚われ、自分が本当に好きなことをして過ごす時間の大切さを見失ってしまっていたかもしれません。

誰かもわからない誰かのために頑張る日々は擦り減るばかりです。他の誰でもない、自分のためだから頑張れるんだ。今はとにかく海を見るためにあと少し自転車を漕ぐんだ!

そして遂に、海とご対面ーー

そしてとうとう1kmのところまで来ました。橋のすきまから水平線が見えて、胸が高鳴ります。いよいよ海とご対面ーーー

道はここで終わっていました。急に現実味溢れる風景。海っていうか、橋?中洲?1分ほど放心状態で立ち尽くします。

海から0.5kmの看板を最後に、その「海」はどこなのかを指し示すサインはなくなったんですが、明らかに工場地帯を突っ切らないと残りの400mくらいは進むことができなさそうです。つまりこれが実質ゴールの「海」なのでしょう。

たとえそこに欲しかった景色がなくても

一生懸命走った先に、思い描いた景色があるとは限らない。それはサイクリングも人生も同じなんだ。

だけど、与えられた景色で満足できるかは捉え方次第。現に私はとても満ち足りた気分でした。ディズニーランドや葛西臨海公園はおろか、波打ち際すら確認することのできない「海」でも、私にとってはとても価値のある「海」なのでした。

最後に私の「海」とパシャリ

そして帰り道…

あー楽しかった。しかしここで終わりじゃありません。私は来た道をまた自転車で引き返さなければならないのです。日が傾き始め少し肌寒くなってくる時間帯、早く家に戻ってビールを飲もう。

自転車に跨るとケツに痛みを感じ始めました。さっきまで海を見るという目標が目の前にあったおかげで忘れてたけど、自転車って長時間乗るとケツが痛くなるんだなぁ。

ペダルを漕いでいると太ももとふくらはぎも痛み出します。こりゃ明日筋肉痛だな。

ケツと足の痛みに耐えながら休憩することなくノンストップで自転車を漕ぎ続けること1時間、無事に最初の「R16」サインに戻ってきました。ふぅ〜、疲れた疲れた。

途中謎のショートカットはあったけど、それでもトータルで約20km。これが普段サイクリングをしてる人からしたらどれくらいの距離なのかわかりませんが、私にとってはとてつもない長距離です。思いつきでもなんとかなるもんだね。

家に帰って答え合わせ

疲れて帰った後にシャワー浴びて飲むビールは最高です。今日も一日よく頑張ったな。なんて思いながら、今日走った道をGoogle mapで確認してみる、すると…

なるほど、どちらに行くか迷ったあの分岐点。あれがやっぱり運命の分かれ目だったみたい。私が左を選んだあの分かれ道、もしあそこで右に曲がっていたら、当初の予定通り16km走ることになるけど、その先にあったのはディズニーランドと本物の海なのでした。

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